ベンチャー企業のフェーズごとの人事課題を羅列してみた

「山根さん、ここ最近退職が増えてしまっているのですが、何が原因なんでしょう…?」

 「今って社員数何名ですか?」

  「25名です」

   「なるほど、そうですよね」

これは、1年ほど前に採用支援をさせていただいた企業様との会話の一部です。
この企業様はここ最近退職者が増えてしまっているようで、その悩み相談だったのですが社員数を聞いたら「25名」とのことで、僕としては「なるほど」と頷ける人数でした。


25名の規模は「アーリーベンチャーフェーズ」ではなく「ベンチャーフェーズ」に分類されます。前者と後者で経営課題が変わっていくのです。どのフェーズの企業様にジョインするかによって企業全体が直面する壁は異なります。フェーズによって求める人物像も異なってきます。そのあたりを記載したいと思っています。

Startup's wayはあくまで「転職活動をしている求職者」の方向けのメディアになりますので、求職者視点で記載したいと思っています。


※本ブログでは下記と定義したいと思っています。
 - アーリーベンチャーフェーズ:2〜20名程度
 - ベンチャーフェーズ    :21〜40名程度

 - ミドルベンチャーフェーズ :41〜100名程度


(1)アーリーベンチャーフェーズ(20名以下)

20名以下のアーリーベンチャーフェーズでは組織の経営課題のオンパレードです。その中でも採用活動についての経営課題をピックアップします。

特に顕著な経営課題は「決断できない問題」です。

20名以下は企業のボードメンバーになります。経験もありマインドも自社にマッチした方を採用したい気持ちはすごくよくわかるのですが、経験もマインドもマッチングをした人材がアーリーベンチャーフェーズで複数名出会うことができることは奇跡のようなものです。

そもそも、実績も知名度もないアーリーベンチャーへそんな優秀な方がジョインしてくれることは可能性として非常に低いです。それにもかかわらず「優秀な方に入社をしてほしい」「今は教えられるマンパワーがないから一人で動けるプレイングマネージャーがほしい」と数年言い続けている経営者はたくさんいます。もちろん、そういった優秀層を採用できればベストです。ただ、そういった方はいないのです。

採用活動で足踏みをしていると、競合他社がすぐに前に進んでしまいます。圧倒的な差をつけられてしまうのは、ほんの一瞬なのです。

設立してから数年経過をしていて、まだ数名のベンチャー企業。もしくは設立をしてから10年弱を経過していて、まだ20名に満たないベンチャー企業は経営者の決断が渋い、遅い可能性があります。そもそも成長をさせようと思っているかという問題もありますが、アーリーベンチャーフェーズでは「経営者の決断力」はしっかり見極めた方が良いでしょう。



(2)ベンチャーフェーズ(20〜40名程度)

このフェーズはとにかく退職者が増えます。理由は「30名の壁」です。聞いたことはありますでしょうか?

僕が採用支援に入ってる企業様も、20〜30名のタイミングで「待ってました」と言わんばかりに退職者が増えます。採用した人数分だけ退職者が出るのです。各社によって理由は様々かと思いますが、人事的な視点で言うと、下記2点の理由を挙げます。


a)理念、ビジョン、求める人物像がハッキリしていない

創業当初から明瞭な理念、ビジョンがある企業は多くはありません。また、創業当時に想っていたことと、事業がうまくいった時に想っていることが異なるケースもあります。
 事業が好調だから人材を採用して売上を上げていこう
 VCから資金調達ができたから上場に向けて人材を採用しよう
このパターンは、30名程度で高い確率で退職者が出ます。理由は「この企業で働く目的、意義」を見出せなくなるのです。
逆に30名以下の場合は社長や役員が社員とコミュニケーションを細かく取ることができ、目的や意義が無くとも退職を防ぎながら進めることができます。30名以上になると社長や役員の目が届かない社員が増えてきて、「自分って何のためのこの企業で働いているんだ?」と自問自答をする社員が増えてきます。もし理念やビジョンがなく退職者が出なければ、優秀なマネージャークラスの方がいらっしゃるのだと思います。

もしこのフェーズの企業に入社を検討しているのであれば、理念やビジョン、自社の求める人物像が文言化できているかどうか確認していただけると良いかと思います。


b)退職理由が実は「社長」だった

30名程度の規模になると、社員は退職の意向をまず上司に伝えます。上司が了承したらおそらく役員、役員が了承したら社長という形で退職意向が伝わっていきます。
その際、役員が社長に伝える退職理由と、社員が上司に伝える理由が異なるケースも見受けられます。その理由が「社長についていけない」という理由もあります。ただ、役員が社長に「あなた(社長)が理由で社員が辞めてしまいました」とは言わないことが多いのです。言わないのではなく、言えないのです。

社長からすると「なぜうちの社員は辞めるのだろうか」と悩むのですが、本当の理由を知らないので、本質的なアプローチができません。ここ最近は退職者は出ているのか?そして、その退職理由はどのようなものか?という質問はしていただいても良いかと思います。



(3)ミドルベンチャーフェーズ(41〜100名)

このフェーズでは部長やマネージャーなど役職者が多数出てきます。組織も徐々にピラミッドのようになってきて、各部署・チームによって会社に対しての「エンゲージメント」の差が出てくる時期なのです。

マネジメント経験がない方が部長やマネージャーに抜擢されることは多数あるかと思います。ベンチャー企業ですので、マネジメント経験がない社員の下にマネジメント経験がある優秀な人材が配置されることもあります。そうなると組織に歪みが生まれることは多くあります。

もちろん問題が生まれないようにエンゲージメント測定ツールを入れたり、人材コンサルティング企業に入ってもらい課題解決に動いている企業様も多くいらっしゃいますが、社員数が多くなるこのタイミングでは色々な問題が起きるものです。

部署ごとのエンゲージメント数値をきちんと把握している企業は強いです。是非質問をしてみてください。


フェーズごとにどんな問題点があるのかを把握していれば、選考において質問をしやすくなりますね。ご参考になれば幸いです。

ポテンシャライトではベンチャー企業向けの転職支援をしております。ご相談希望の方は下記にてご連絡ください。

Yamane Kazuki

新卒で入社した大手人材系企業にてマネージャーとして人材紹介事業に携わり、その後、IT/インターネット/ゲーム業界に特化した人材紹介会社立ち上げに参画。同社在籍時にはリクナビネクスト主催のキャリアカウンセラーランキング1位(3000名中)を獲得。2017年4月、株式会社ポテンシャライトを創業し、人材紹介事業と採用コンサルティング事業を推進している。